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All chin総合的な治療
歯1本の形を整えるだけの治療であっても、歯ぐきだけを診て治療するのではなく、お口全体の状態を診てから治療を行います。
矯正治療、審美的治療歯科治療やインプラントなどを複合的に施すことで、機能性も見た目も満足できる治療結果を得られる可能性が高くなるのが全顎治療です。
たとえばむし歯や歯周病によってダメージを受けた歯や咬み合わせに対しては、インプラント治療や矯正治療、審美的治療歯科治療といった複数の角度から診断を行い、適切に組み合わせて治療を行います。悪くなった部分だけでなく、広い視野でお口全体をふまえて診断・治療を行い、長期的によい状態を維持できるよう努めます。
当院ではどのような方法でどのような治療をするかの症例を紹介していきます。
【症例】初診:2014年05月(上:写真1、初診時パノラマ写真)、51才女性、主訴:左側顎関節の咬合痛・自発痛と左上ブリッジの脱離による動揺、1年以上前から左上3の転位歯の抜歯やインプラント治療に対する抵抗感あり、インプラント以外の治療希望のため、知人や家族の紹介により当院受診。カロリーや常食の食形態はキープできているようだが、片側咬みで不便を感じている。所見:左側顎関節違和感(+)、本人もブラキシズム自覚あり。左上➀➁3➃5延長ブリッジは脱離し、左上4根内面カリエス、左下4根尖病巣、下顎左側臼歯部は挺出し、咬合平面の湾曲を認める。右下4近心骨吸収、咬合支持数…8?10本(左上動揺ブリッジのための評価)、欠損歯数…6本(写真1、2)、アイヒナーの分類…B2、宮地の咬合三角…第2エリア、現状で食事には困っておらず、常食でカロリーや食形態はキープできている。
写真2
【治療経過】
2014.06.14ナイトガードセット後に、左側顎関節違和感は消失。KaVo ArcusDigma2を使用し下顎運動の計測を行う。結果、わずかに左右差は認めるものの咬合は安定し(図1)、これを基準とし、矯正・補綴治療を進める。一方、懸念材料である左側臼歯部の挺出と欠損について、咬合平面の改善の治療を始めた場合、新たに咬合平面の設定など治療期間の延長、治療費の負担増、主訴に沿わないこと、などが考えられたため、今は手をつけず、現状の咬合をロスしない方向で、患者の希望通りに治療を進めることになった。
2014.10.22 左上124感染根管処置後、第一段階として3を動かすスペースを作るために左上4をオープンコイルで遠心移動。(写真3)
2014.11.28矯正用テンポラリーアンカースクリュー(Proseed8mm)を左上大臼歯部頬側に埋入し牽引開始。(写真4)
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H26.10月 ~ H27.3月 MTM ー 除去 通院回数 6回 ¥357.300 ¥6.480 計¥363.780 H27.6月~ H27.7月 ミリングデンチャー セット 通院回数 4回 計¥561.600 H27.8月~ H27.11月 ナノジルコニア セット 通院回数 5回 計¥561.600
2015.01.08左下4感染根管処置後、左上3牽引の際の咬頭の干渉を考慮し、この時点での補綴は行わず、レジンコアで保留。(写真5)
2015.03.12左上3ほぼ歯列内に位置。
写真7
2015.11.19治療終了。左上1234はナノジルコニアにて永久固定。左下4はフルジルコニアクラウン、右下は➄4➂メタルボンドブリッジ及び76アタッチメント付ミリングデンチャーで補綴した。(写真7)
【考察】治療結果として、審美的治療性や咬合の回復という点で患者の満足は得た。咬合支持数11本、欠損歯数3本、アイヒナーの分類B1、宮地の咬合三角…第1エリア、当院の評価である持続可能性sustainability(リスクが少なく摂取カロリーをキープできるか)…ナイトガードを継続使用、顎関節の咬合時違和感はない。ジルコニアの劣化は今後も少ないものと考えられる。ミリングデンチャーは将来的に修理対応が可能で歯牙に何らかのトラブルがあっても、対処が容易でトラブル時に身体へのダメージは少ないと考える。また今回は初診時より食事には困っていなかったが、常食でカロリーや食形態はキープしていることも確認している。