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Blog・News(情報提供シリーズ)歯科に関する質問をいただいたのでお答えしました

この情報提供は、歯科と健康に関する情報を一般視聴者の方々に分かりやすく説明し、地域の住民の方々の健康に寄与することを目的としています

情報の公開に際しまして、利益相反はありません

これはあくまで個人のリサーチによる情報提供であり、特に何らかの団体に依頼されて行なっているものではありません

 

公社)日本歯科医師会、一社)長崎県歯科医師会、一社)佐世保市歯科医師会に所属していますが、データ引用をしていても、所属団体の意見を代表するものではありません

以上のことをご了承の上、ご覧ください

 

 

先日、某大学の在宅介護に関する多職種連携のオンライン講義を歯科医師と歯科衛生士で行い、レポートを添削しました。

また学生さんからの質問を頂きました。一般の方々にも通じる質問も多く合ったので、少しご紹介させていただきます。

(質問)胃瘻や腸瘻をされる前の段階の患者さんなどに、歯で噛んで食べるということの重要性を伝える以外にどのような声かけや対応をすべきでしょうか?

(回答)一つの例ですが、たまの外食で「食思(しょくし・食欲)」が働くと、食べる機能が衰えていても、自ら進んでいつもより安全に食べることを経験しています。患者さんにとっては「自分が好きなものを食べることができる」ということは、これからも食べ続ける上でとても重要なことです。食べ続けることは口の周りはもちろん、体の筋力や抵抗力の維持につながりますので、「何か食べたいものはありますか?」と会話の中から、好物を聞いてみて、食べやすい食形態で提供するなどしてみてはどうでしょうか。自分の体を維持するための口腔ケアの受け入れのモチベーションにもなると思います。

(質問)寝たきりの方の口腔ケアはどのようにして行うのか教えていただきたいです

(回答)誤嚥を起こしにくい体位で口腔ケアを行います。可能であれば30〜45度ギャッジアップしたファーラー位・セミファーラー位で、脳血管障害などで麻痺があり、ギャッジアップができない場合などの口腔ケアの体位は側臥位、仰臥位などがあります。

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側臥そくが位:片麻痺があり座位が困難な場合は健側を下にする。健側を下にすることで唾液等が健側を通り誤嚥しにくくなる。やや頭部を挙上するといい。

 

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仰臥ぎょうが位:顔を横に向け麻痺側からアプローチすることで誤嚥を予防する。顔を横に向け、麻痺側を回旋することで麻痺側の咽頭が狭くなり、同時に健側の咽頭が広がり誤嚥しにくくなる。

 

また、口腔ケアの際には汚染物が奥の咽頭部に落ちないように充分配慮し、必要であれば唾液や水分を吸引しながら、行ってください。

 

(質問)在宅での訪問診療を行う場合には、比較的軽い治療であればその場で行うのでしょうか?

(回答)本人の体調が良く、持続する体力があれば、体調の管理下、診療所と同じ治療を行います。ただし抜歯など侵襲(ダメージ)の大きな観血的処置(出血を伴う処置)はかかりつけ担当医の判断の下、歯科医師は可否を判断します。

(質問)歯科医師の在宅訪問は現在頻繁に行われているのでしょうか?歯科医師は自宅などにはどのくらいの頻度で出向くのでしょうか?

(回答)現在、佐世保市において訪問歯科診療を行っている歯科医院は約30医院あります。訪問の頻度は歯科医院の先生の方針や違いますが、一般的な歯科診療を行いながら訪問歯科診療を行っている歯科医院がほとんどで、毎日訪問歯科診療を行っている歯科医院は少ないようです。週1〜2回、居宅や施設、回復期病院等に行く先生がほとんどです。

直接的に患者さんの家族から歯科医院や佐世保市歯科医師会0956224264に依頼がある場合と、施設や訪問看護から依頼がある場合があります。最近は地域包括支援センターから依頼があることも増えてきました。

(質問)歯科医師と管理栄養士はどのような時に関わりますか。

(回答)管理栄養士と話す機会も増えてきています。まず、居宅、施設などではケアプランの作成を行わなければいけませんし、食事形態なども本人の状態に合わせて決めなければなりません。歯科医師だけでなく、医師、ケアマネやスタッフが食事の提供方法を話し合い決めていく、これを「ミールラウンド」と言います。管理栄養士とも食事の確認を行い、摂食嚥下の状態について、話し合います。

他にも、最近は生活習慣病の予防の事業で歯科も医科や行政(佐世保市)の管理栄養士と関わることも多くなっています。特に糖尿病においては、食事の改善・食事療法は大きな割合を占めるため、医師のみならず、管理栄養士の知識は必須です。歯科も歯周病の管理に関わりますので、各職域を交え、話し合いされています。

 

また在宅における摂食嚥下障害の改善に多職種連携は不可欠なことから、長崎県では医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、そして管理栄養士のそれぞれの職域団体が集まり「口のリハビリテーション研究会」を立ち上げ、活動しています。

 

(質問)唾液は個人差がありますか?  また、少ない方が良いや多い方が良いといったことはあるのですか? 口腔関係ではない部分の治療で服薬している薬との関係は?

(回答)唾液の流出量について、一般的には少ないよりも多い方が自浄作用が働き、口の中を清潔に保つ、とされています。唾液で口腔内が湿潤状態になることより、歯の表面が乾燥せず、むし歯になりにくくなります。口腔内の粘膜や歯肉まで乾燥する「口腔乾燥」は不快症状のみならず、飲み込みにくくなったり、粘膜に傷がつきやすくなったり、入れ歯が合いにくくなったり、と、さまざまな悪影響を及ぼします。

 現在、口腔乾燥や口渇が副作用として挙げられている薬剤は700種類以上あるとされています。その中でも代表的なものを挙げます。

 

・抗うつ薬  ・抗てんかん薬  ・抗不安薬  ・睡眠薬・降圧薬 

・抗精神病薬   ・鎮痛薬・偏頭痛薬  ・抗パーキンソン病薬 

・抗アレルギー薬  ・消化性潰瘍治療薬  ・気管支拡張薬 

・排尿障害治療薬  ・抗がん薬  ・抗不整脈薬

 

その他、ポリファーマシーでも口腔乾燥はあると思われます。