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Blog・News口腔機能低下症における全身状態と低栄養の診断(歯科・医療関係者向け)

口腔機能低下症の診断後は管理計画書を作成し、患者に説明します。動機付けを行い、パンフレットなどを利用しながら、生活・栄養・訓練指導などを行なっていきます。

(老年歯科学会

http://www.gerodontology.jp/committee/file/oralfunctiondeterioration_leaflet.pdf )

 

 口腔機能低下症の管理で重要なことは機能低下と診断された個々の機能の対応だけに終わらないことです。管理計画を立案し、口腔機能低下に影響している全身状態と全身疾患の把握や、生活習慣や栄養状態を改善するような動機付け、訓練指導を実施することが重要です。6ヶ月を目処に再評価を行います。

①全身状態と栄養状態の把握・指導

 

高齢者の多くは、何らかの基礎疾患を有しています。医療面接ではどのような疾患を有していて、それに対してどのような薬剤を内服しているか把握し、服用されている薬剤がどの疾患に対して処方されているのかを調べることで、口腔乾燥やディスキネジア、嚥下障害などの副作用が分かります。

栄養状態の把握について、口腔機能が低下すると、生体維持に必要なタンパク質やビタミン摂取が減り、栄養障害に陥りやすくなります。

タンパク質摂取が減ると、全身のサルコペニアが進行し、口腔の筋力低下に繋がります。低栄養については適切な診断と対応が必要です。

患者さんへの動機付けとして重要なことは口腔機能低下の悪化予防と適切な栄養摂取が、フレイルや要介護の予防につながることを理解してもらうことです。

食事摂取については栄養バランスのとれた、どのような食品をどのくらい食べているかを把握することが重要です。農林水産省が展開している「食事バランスガイド」などを用い、指導すると良いでしょう。

農林水産省https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/attach/pdf/index-2.pdf

長崎県版 http://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2013/07/1374636486.pdf

②低栄養の診断

 

 我が国では低栄養診断において低グロブリンなどの血液検査結果はアセスメントに欠かせない評価項目ですが、栄養か否かの診断に必須ではないというのが、グローバルコンセンサスとされているようです。

重要なのは低栄養リスクの見極めと丁寧な聞き取り、そして身体計測であるとしています。

口腔機能低下症における全身状態と低栄養の診断(歯科・医療関係者向け)
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食事摂取量の不足や体重減少の経過は併存している疾病が慢性、急性、非炎症性なのかによって、複雑ですが、通常の食事摂取量と比べ、

1)どれくらい減っていて、

2)その期間はどれくらいか、

3)3〜6ヶ月前の体重や1年前の体重はどうだったのか、

を聞き取り、判断します。

筋肉量の減少について、身体計測法で下腿周囲長(ふくろはぎ周囲長)と上腕筋囲長がよく用いられ、下腿周囲長について男性30㎝未満、女性29㎝未満であれば筋肉量減少と判断して良いとされています。

皮下脂肪減少について、上腕三頭筋皮下脂肪厚減少を計測し、男性8㎜、女性12㎜未満を判定基準にします。

 浮腫の存在や筋機能低下は低栄養の診断基準の一つで、浮腫は疾病による炎症やタンパク質摂取不足を反映します。体重減少をマスクしてしまうため、重要な所見です。

握力などで評価される筋機能低下はサルコペニアの診断基準に準じ、男性28kg未満、女性18kg未満としています。

 

「低栄養」と診断したら、歯科医師は患者の低栄養の改善のため指導するか、直接の栄養指導を行えない場合には、栄養ケアを得意とする医療従事者、施設へ栄養介入・コンサルタントしましょう。

 

参考文献:かかりつけ歯科医のための口腔機能低下症入門(デンタルダイヤモンド社)