Blog・News指しゃぶり と 口腔筋機能療法(MFT)
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先日はスタディグループでの発表でしたので、
「歯科治療と舌運動についての解釈と考察」として発表させていただきました。
その症例の中で、指しゃぶりや舌のスポット(置く位置)が良くなくて、
開咬(かいこう、写真:前歯部の上下が空いてしまうこと)になってしまった小児に対して、
口腔筋機能療法(MFT oral myofunctional therapy:以後MFT)を用い、
比較的良好に改善傾向にある症例をご紹介します。
症例に関しまして、ご家族の許可を頂き、掲載させていただいています。
また、これらの治療は自由診療で行われています。
ページの最後に金額の提示をさせていただきます。
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指しゃぶりは子どものストレス的な要因(例:兄弟姉妹のせいで甘えられない、など)もありますが、
ストレスの改善は今回は別にして、
ひとまずこの説明の場においてはMFTの方法と効果だけを述べさせていただきます。
写真は指しゃぶりと咬舌癖等から開咬を呈してしまった当初の写真です。
MFTを説明する前に、どうすれば正しい位置に歯が並ぶのかを簡単にご説明します。
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(写真は一般社団法人佐世保市歯科医師会の医療福祉委員会元委員長の太田先生のスライドから引用させていただいています。)
キレイな歯の列になるには正しい力が歯や顎に加わることが必要です。
具体的には歯は「舌」と「口唇」「頬粘膜・頬筋など口腔周囲筋」とに挟まれ、
力が釣り合うところに並んでいきます。
ですから、「舌」や「口唇」などどちらかの力が弱かったり、強かったり、
指しゃぶりや弄舌癖(舌をもて遊ぶ癖)などの悪習癖があると、
上下の顎の大きさが釣り合わない位置に歯が並んでしまったり、
写真のような開咬を呈したりしてしまいます。
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この症例は舌・舌尖の筋力アップや上下の口唇の小帯伸ばしや
舌を正しい位置に固定するための訓練などを行っています。
もちろん前提として「指しゃぶり」を止めてもらうようにします。
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約4ヶ月経過後です。
状態の変化がお分かりでしょうか。
まだまだ治療は続きますが、上顎の前歯が降りてきて、
開咬スペースが狭まってきています。
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治療前後を比較してみましょう。
いかがでしょうか。
上顎と下顎の前歯の動き・経過が確認できます。
正しい機能を獲得していくと、
しかるべき位置に歯は並んでいきます。
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また、当院においては治療前後において、
舌圧測定器を用い、筋力が強くなったかも調べていきます。
健康な成人の舌圧の平均値は30KPa(キロパスカル)とされていますが、
このように小児のMFTの検査においては平均値よりも、
筋力の訓練前後の舌圧を診ていくこと大事になってくるでしょう。
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こういったことに加えて、食事の指導もしていきます。
食事の形態(テクスチャ)や食事の意思(食思)、、、
おそらくはきちんと「奥歯」でも咀嚼がしにくく、力が弱いため、
柔らかいうどんのようなものや口どけの良いチップスのようなものが
多くなっていることが考えられます。
噛み続ける力、持続力(筋力)も弱くなってきている子どもは多いです。
「米粒を臼歯部で噛めるようにする」
栄養面でもこれらの考え方が必要になってきます。
以上、MFTは舌や頬などの口腔周囲筋肉に正しい働きを覚えさせ、
適切な位置に歯や顎のみならず機能を引き出す治療となります。
*注意:効果には個人差があり、保証するものではありません。
*初期費用35,000円(税別)、指導料3000円(税別・1回)×約10回、その他術前診査5,000円(税別)、術後診査5,000円(税別)、場合によりCT撮影15,000円(税別)